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オンライン相続手続きサービスの活用
自宅から完結できる手続きと、できない手続きを正確に把握する

行政のデジタル化と民間サービスの普及により、相続手続きの一部はオンラインで完結できるようになっています。ただし「オンラインで全部できる」は誤解です。手続きの種類によってオンライン対応の可否が異なるため、どこまでデジタルで進められるかを正確に把握してから活用することが重要です。

オンラインサービスが向いているか — 状況チェック
💡 あてはまる項目にチェックを入れると、オンライン活用の適性を判定します
相続人が1〜2人で、全員の意見がほぼ一致している適性あり
財産が預貯金・株式が中心で、不動産がない(または1件のみ)適性あり
相続税が基礎控除以下(遺産総額が3,000万+600万×相続人数以下)適性あり
パソコン・スマートフォンの操作に慣れている適性あり
相続人が3人以上いる、または意見が対立している要注意
不動産が複数ある、または農地・収益物件がある要注意
相続税の申告が必要、または節税の余地がある専門家推奨
遺言書の有効性に疑問がある、または遺産分割でもめている専門家必須
項目にチェックを入れると判定します

オンライン対応の可否 — 手続き別一覧
手続きの種類 オンライン対応 概要・注意事項
戸籍謄本の広域交付請求 ◎ マイナンバーで可 マイナンバーカードがあれば市区町村窓口で全国分まとめて取得可。郵送請求も可能。
法定相続情報証明書の申請 ◎ 法務局オンライン可 登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと)から申請可。複数手続きで戸籍謄本の束を省略できる。
相続登記(不動産の名義変更) ○ 一部オンライン可 「登記ねっと」からオンライン申請可。ただし添付書類の原本は郵送が必要。司法書士への依頼が一般的。
相続税申告書の作成・提出 ○ e-Taxで可 国税庁のe-Taxから電子申告可。ただし専門知識が必要なため、税理士への依頼が実質必須。
銀行口座の相続手続き △ 銀行による メガバンク・ネット銀行の一部はオンライン受付開始。多くは窓口または郵送が必要。
証券口座の相続手続き △ 証券会社による 楽天証券・SBI証券など一部はオンライン手続き可。対面証券は窓口が中心。
遺産分割協議書の作成 △ 作成は可・署名は不可 書類の草案作成はオンラインサービスで可能。実印・印鑑証明書が必要なため、完全オンライン化は不可。
弁護士・税理士への相談 ◎ ビデオ相談で可 Zoom等によるオンライン相談が普及。初回相談のみオンラインで、その後は対面というパターンも多い。
家庭裁判所の調停・審判 ✗ 原則対面 遺産分割調停・審判は原則として家庭裁判所への出頭が必要。申立書の提出は郵送可。
相続放棄の申述 ✗ 家庭裁判所への郵送 家庭裁判所への郵送申請は可能だが、完全オンライン化は未対応。3ヶ月の期限に注意。

活用できるオンラインサービスの詳細
行政のデジタルサービス
民間の相続手続きサービス
専門家へのオンライン相談
法務局 登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと)
相続登記・法定相続情報証明書の申請・登記事項証明書の請求をオンラインで受け付けています。電子証明書(マイナンバーカード等)が必要。添付書類の一部は郵送が必要ですが、窓口に出向く回数を大幅に減らせます。登録免許税の電子納付も可能です。
URL: legal-affairs.go.jp 無料 マイナンバーカード必要
国税庁 e-Tax(国税電子申告・納税システム)
相続税申告書の電子提出・納税が可能です。e-Taxソフト(Web版)から申告書を作成・提出できます。ただし相続税申告は評価・特例の適用が複雑なため、e-Taxはあくまで提出手段として税理士と連携して使うことがほとんどです。準確定申告(亡くなった方の所得税申告)もe-Taxで提出可能です。
URL: e-tax.nta.go.jp 無料 利用者識別番号が必要
市区町村 マイナンバーカードによる戸籍謄本の広域交付
2024年3月から開始。マイナンバーカードを持参し、住所地の市区町村窓口で「本籍地が別の自治体の戸籍謄本」も取得できるようになりました。従来は本籍地ごとに郵送請求が必要でしたが、1か所の窓口で被相続人・相続人全員分の戸籍を揃えられます。相続人調査の手間が大幅に軽減されます。
全国の市区町村窓口 450〜750円/通 マイナンバーカード必要
注意 行政サービスは「提出手段」であり「書類作成の代行」ではない
e-Taxや登記ねっとは「完成した書類をオンラインで提出するシステム」です。申告書・申請書の作成は自分で行う必要があります。特に相続税申告書・相続登記申請書は記入項目が多く専門知識が必要なため、行政のオンラインシステムだけで完結させようとすると誤りが生じやすいです。
⚠️ 書類作成の代行機能はなし
書類作成 相続手続き書類作成サービス(行政書士法人・LegalTech)
質問に答えるだけで遺産分割協議書・相続関係説明図などの書類を自動生成するサービスが普及しています。相続人全員が合意している・財産がシンプルなケースでは費用を抑えながら書類を準備できます。ただし完成した書類への実印・印鑑証明書の取得は別途対面で必要です。
費用:3〜10万円程度 向き:シンプルなケース
銀行手続き ネット銀行・メガバンクのオンライン相続手続き
楽天銀行・住信SBIネット銀行・PayPay銀行などのネット銀行は相続手続きをほぼオンラインで完結できます。三菱UFJ・みずほ・三井住友などのメガバンクも書類のオンライン申請受付を開始しています。ただし遺産分割協議書の提出・実印の押印は郵送対応のことが多く「完全オンライン化」は限定的です。
各銀行の相続専用ページから申請 手数料:無料〜数千円
証券手続き ネット証券のオンライン相続手続き
SBI証券・楽天証券・松井証券などのネット証券は相続手続きのオンライン化が進んでいます。必要書類のPDFアップロード・電子署名による手続きが可能な場合があります。一方、野村・大和・SMBC日興などの対面証券は原則として窓口での手続きが必要です。
各証券会社の相続手続きページを確認
総合サポート 相続手続き一括代行サービス(士業法人のオンライン対応版)
司法書士・行政書士法人が提供するオンライン完結型の相続手続き代行サービスです。ヒアリング・書類収集・提出まで担当者がオンラインで伴走します。全国どこからでも依頼でき、地方在住者・遠方の相続人が複数いるケースで特に有効です。費用は対面型とほぼ同等ですが、移動コスト・時間が節約できます。
費用:10〜30万円程度 争いのないケース向け 全国対応
弁護士相談 オンライン弁護士相談(ビデオ通話)
遺産分割の対立・遺留分請求・調停対応などトラブルケースでも、初回相談はビデオ通話(Zoom・Google Meet等)で受け付ける弁護士が増えています。地方在住で相続専門弁護士が近くにいない場合や、東京・大阪の専門家に相談したい場合に有効です。正式依頼後は対面対応に切り替えるパターンが多いです。
初回30〜60分:無料〜1万円 全国の専門弁護士に相談可
税理士相談 相続税専門税理士へのオンライン相談
相続税申告・節税設計・税務調査対策についてビデオ通話で相談できます。資料のPDF共有・画面共有を活用することで、対面と遜色ない相談が可能です。税理士は対面と比較しても書類のやり取りがデジタル化しやすく、オンライン相談との相性が良い専門家です。全国の相続専門税理士に依頼できる点が最大のメリットです。
初回相談:無料が多い 資料のPDF共有で円滑に進む
法テラス 法テラスのオンライン法律相談
収入要件を満たす方向けに、法テラスのビデオ通話による無料法律相談が利用できます。スマートフォンやタブレットから自宅で相談できます。法テラスのサポートダイヤル(0570-078374)に電話して「オンライン相談を希望」と伝えると案内してもらえます。
収入要件あり・無料 TEL: 0570-078374
注意 オンライン相談でも「代理交渉・調停」は対面が必要
相談・方針確認はオンラインで進められますが、家庭裁判所の調停期日への出頭・相手方との交渉・書類への署名捺印は対面での対応が必要です。「オンラインで全部完結する」という誤解をしないよう注意してください。初回相談はオンラインで始めて、必要に応じて対面に移行するという使い方が現実的です。
⚠️ 調停・署名捺印は対面が必要

オンラインサービス利用の注意点
  • 「全部オンラインで完結」は現状ではほぼ不可能
    戸籍謄本の収集・遺産分割協議書への実印・印鑑証明書の取得・銀行窓口での最終確認など、現在の法制度上「対面・実印が必須」な手続きが多く残っています。オンラインサービスはあくまで「手続きの一部を効率化するツール」として活用してください。
  • 相続税の申告・節税にオンラインサービスは不十分
    市販の書類作成ソフトやオンラインサービスは一般的なケースを想定しており、小規模宅地特例・路線価補正・二次相続シミュレーションなど専門的な節税判断には対応していません。相続税が発生するケースでは必ず相続専門の税理士に依頼してください。
  • 書類作成サービスで作った協議書は争いが起きると無効になるリスクがある
    遺産分割協議書の記載内容に不備・曖昧さがあると、後から相続人の一人が「合意していない」と主張するトラブルになりえます。特に相続人が複数・財産が多い・関係が複雑なケースでは行政書士・司法書士に正式に依頼することを強く推奨します。
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    マイナンバーカードの取得が「オンライン活用」の前提条件
    戸籍の広域交付・e-Tax・登記ねっとの一部機能を使うには、マイナンバーカードと対応するICカードリーダーまたはスマートフォンが必要です。カードを持っていない場合は手続き前に取得しておくことで、全体の効率が大幅に上がります。
  • 「専門家にオンラインで相談する」は積極的に活用すべき
    書類作成の自力完結は難しくても、弁護士・税理士へのオンライン相談は積極的に活用すべきです。地方在住・遠方の相続人・仕事で平日に時間が取れない方でも、夜間・週末のオンライン相談で専門家のアドバイスを得られます。まず相談することで「どこまで自分でできるか」が明確になります。

オンラインサービス選びのチェックリスト
依頼前に確認すること(チェックして進捗を管理)
0 / 10 確認済み
サービスの適合性確認
自分のケース(相続人数・財産の種類)がサービスの対応範囲内か確認した最重要
「相続税申告が不要なケース」に該当することを確認した(申告が必要なら税理士へ)重要
相続人全員が合意しており、争いが発生していないことを確認した重要
サービスの信頼性確認
運営会社が弁護士・司法書士・行政書士などの資格者法人か、または連携しているか確認した最重要
料金体系が明確で、追加費用が発生する条件を確認した重要
個人情報・書類データの取扱いポリシー(暗号化・第三者提供禁止等)を確認した確認推奨
限界の把握
サービスが「どこまで対応するか」(実印取得・銀行窓口手続きは自分で行うか)を確認した重要
途中でトラブル・争いが発生した場合の対応方針(弁護士紹介等)を確認した確認推奨
避けるべきサービス
「相続税申告も含めて全部オンラインで完結」と謳うサービスに飛びついていないか確認したNG確認
資格者(弁護士・税理士・司法書士・行政書士)が関与していない書類作成サービスでないか確認したNG確認
よくある疑問
相続手続きをすべてオンラインで完結させることはできますか?
現状ではほぼ不可能です。遺産分割協議書への相続人全員の実印・印鑑証明書の添付は法的に必須であり、これを完全にデジタル化する仕組みはまだ整っていません。また銀行の相続手続きも最終的な書類提出は郵送や窓口が多いです。オンライン化が進んでいるのは「書類の申請・提出」「専門家との相談」の部分で、「署名・捺印・原本提出」は当面は対面・郵送が残ります。
マイナンバーカードがないと行政のオンラインサービスは使えませんか?
登記ねっとの一部機能・郵送での書類請求はマイナンバーカードなしでも利用できます。ただし、戸籍の広域交付(全国どこの窓口でも取得)・e-Taxの電子署名・登記のオンライン申請にはマイナンバーカードが必要です。相続手続きを機にマイナンバーカードを取得しておくと、今後の手続き全般が大幅に効率化します。
ネット銀行の相続手続きは本当にオンラインで完結しますか?
楽天銀行・住信SBIネット銀行などは手続きの大部分をオンライン化していますが、遺産分割協議書の場合は実印・印鑑証明書が必要なため完全オンラインではありません。法定相続分での払戻しを選択した場合は書類が簡略化され、よりオンライン完結に近い対応が可能なケースがあります。まず各銀行の相続手続き専用ページで必要書類を確認してください。
遠方に住んでいて対面での手続きが難しい場合はどうすればいいですか?
複数の選択肢があります。①相続登記・銀行手続きは郵送での書類提出が可能な機関がほとんどです。②弁護士・税理士・司法書士へのオンライン相談→書類のPDF確認→実印・印鑑証明書は郵送という「ハイブリッド方式」が実用的です。③行政書士・司法書士法人のオンライン対応一括代行サービスを利用すれば、全国どこからでも専門家に依頼できます。全体の移動回数を2〜3回程度に抑えることは十分可能です。
民間の書類作成サービスは、司法書士・行政書士に直接依頼するのと何が違いますか?
最大の違いは「責任の所在」と「対応できる複雑さ」です。民間書類作成サービス(非資格者が運営するもの)は書類の形式的な作成を支援しますが、法的責任は依頼者にあります。一方、司法書士・行政書士は国家資格者として法的責任を持って書類を作成し、記載ミス・要件漏れにも対応します。費用は大差ないケースも多いため、特にシンプルでないケースでは資格者への直接依頼を選んでください。
「オンラインでどこまで進められるか」「専門家に何を依頼すべきか」
まず状況を確認して最適な方法をご案内します。
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