税金・節税 > 相続税の計算ステップ

相続税の計算ステップを
具体例付きでわかりやすく解説

相続税の計算は5つのステップで行います。架空の家族「田中家」を例に、基礎控除の計算から各相続人の最終税額の確定まで、すべての過程を数字で追っていきます。

📋 今回の計算例「田中家」の設定
夫(被相続人)享年75歳 死亡
妻・花子配偶者・相続人①
長男・一郎子・相続人②
長女・二子子・相続人③
遺産総額1億円(不動産5,000万+預金5,000万)
葬儀費用200万円(控除対象)
STEP 1 課税価格の合計を計算する 9,800万円
プラスの財産合計 1億円 + みなし相続財産(生命保険金 1,500万円 − 非課税枠 500万円×3人=1,500万円) − マイナス財産(葬儀費用 200万円
9,800万円(課税価格の合計)
財産の種類金額備考
不動産(土地・建物)5,000万円路線価ベース評価額
預貯金5,000万円各銀行の残高証明書
死亡保険金(みなし)0万円1,500万円−非課税枠1,500万円=0
▲ 葬儀費用(控除)−200万円領収書で控除
課税価格の合計9,800万円
生命保険の非課税枠(500万円×3人=1,500万円)がちょうど死亡保険金と同額のため、みなし財産の加算はゼロになりました。非課税枠を超えた場合は超過分を加算します。
STEP 2 基礎控除を引いて課税遺産総額を求める 5,000万円
基礎控除額 = 3,000万円600万円 × 3人4,800万円
課税遺産総額 = 9,800万円 − 4,800万円 = 5,000万円
項目金額
課税価格の合計9,800万円
▲ 基礎控除額(3,000万円+600万円×3人)−4,800万円
課税遺産総額5,000万円
課税遺産総額がゼロ以下になれば相続税はかかりません(申告不要)。今回は5,000万円の課税遺産が発生しています。
STEP 3 法定相続分で按分し仮の税額を計算する 総額770万円
課税遺産5,000万円を法定相続分で按分
妻(1/2):2,500万円 長男(1/4):1,250万円 長女(1/4):1,250万円
相続人按分額税率・控除仮の税額
妻・花子(1/2) 2,500万円 15%−50万円 325万円
長男・一郎(1/4) 1,250万円 15%−50万円 137.5万円
長女・二子(1/4) 1,250万円 15%−50万円 137.5万円
相続税の総額 770万円
この770万円は「相続税の総額」であり、各人の最終税額ではありません。この後、実際の取得割合で按分し、特例を適用して各人の税額が決まります。
STEP 4 取得割合で按分し各人の算出税額を求める 妻385万円 / 子各192.5万円
遺産分割協議の結果:妻5,000万円(1/2)・長男2,500万円(1/4)・長女2,500万円(1/4)
各人の算出税額 = 相続税の総額770万円 × 取得割合
相続人取得額取得割合算出税額
妻・花子 5,000万円 1/2(50%) 385万円
長男・一郎 2,500万円 1/4(25%) 192.5万円
長女・二子 2,500万円 1/4(25%) 192.5万円
今回は法定相続分どおりに分割したため取得割合もSTEP3と同じです。法定相続分と異なる分割(妻が多く取得するなど)の場合はこの按分で変わります。
STEP 5 各種控除・加算を適用して最終税額を確定する 妻0円 / 子各192.5万円
相続人算出税額適用する控除・加算最終税額
妻・花子 385万円 配偶者の税額軽減(取得5,000万円≦1億6千万円)→ 全額控除 0円
長男・一郎 192.5万円 適用できる控除なし 192.5万円
長女・二子 192.5万円 適用できる控除なし 192.5万円
最終的な相続税の合計 385万円
妻・花子
0 円
配偶者控除で全額非課税
長男・一郎
192.5万円
申告期限までに納付
長女・二子
192.5万円
申告期限までに納付
遺産総額1億円に対して実際に納付する相続税は385万円(実効税率約3.9%)。配偶者控除・生命保険の非課税枠・葬儀費用控除の活用で大幅に圧縮されています。小規模宅地等の特例をさらに適用すると土地の評価額が80%減額されさらに低くなります。

自分のケースで試算する
遺産総額 万円
債務・葬儀費用 万円
法定相続人の構成
配偶者控除を適用する (配偶者が法定相続分以内を取得する場合)
小規模宅地等の特例 万円(評価減額)
課税価格の合計
基礎控除額
課税遺産総額
相続税の総額(特例適用前)
配偶者控除後の相続税(子が納付)
実際に納付する相続税(概算)
※概算値です。特例の詳細要件・2割加算・贈与税額控除などは含みません。正確な税額は税理士にご確認ください。

よくある疑問
相続税の計算は自分でできますか?
概算であれば計算できます。ただし不動産評価(路線価・各種評価減)・小規模宅地等の特例の要件確認・みなし相続財産の算定・生前贈与の加算など、正確な申告書の作成には専門知識が必要です。特に特例の適用漏れは数百万円単位の損失につながるため、申告は税理士への依頼を推奨します。
遺産分割の方法を変えると相続税の総額は変わりますか?
遺産分割の方法を変えても「相続税の総額」は変わりません(STEP3の計算は常に法定相続分で行うため)。ただし各人の最終税額は変わります。配偶者が多く取得するほど配偶者控除で消える税額が増え、小規模宅地特例を誰が適用するかで土地の評価額も変わります。分割方法を最適化することで実際の納税額を大きく減らせるため、税理士との事前相談が重要です。
相続税の申告書はどこに提出しますか?
被相続人(亡くなった方)の死亡時の住所地を管轄する税務署に提出します。国税庁のウェブサイトで郵便番号から管轄税務署を検索できます。e-Taxでの電子申告も可能です。提出期限は相続開始を知った日から10ヶ月以内で、申告と同日までに納税が必要です。
小規模宅地等の特例を適用するとどのくらい税額が変わりますか?
今回の例で自宅の土地(評価額3,000万円と仮定)に小規模宅地特例を適用すると評価額が80%減(2,400万円減)となり、課税遺産が5,000万円→2,600万円に。相続税の総額も大幅に減少します。「特例を適用するかしないか」で数百万円の差が生まれることが多く、これが税理士への依頼の最大の価値です。
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