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遺言書の内容に納得できない場合の対処法
遺留分請求・無効確認・合意による変更を状況別に解説

遺言書があっても「それで終わり」ではありません。遺留分の侵害・遺言書の有効性・内容の不公平さについて、法的に対抗できる手段があります。ただし期限が短いものが多く、気づいたら早急に弁護士に相談することが重要です。

あなたの状況に合った対処法を診断する
遺言書の内容についての不満はどれですか?
複数ある場合は最も緊急性の高いものを選んでください
自分への相続分が極端に少ない・ゼロになっている(遺留分の問題)
遺言書が偽造・変造されている可能性がある・形式に不備がある
被相続人が認知症だったのに遺言書が作成されている
内容は有効だが相続人全員が合意して遺言と異なる分割をしたい
あなたは誰ですか?(遺留分の有無を確認)
兄弟姉妹には遺留分がありません
配偶者・子・孫(代襲相続人)・親・祖父母のいずれか
兄弟姉妹・甥・姪
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疑われる問題はどれですか?
筆跡が本人のものではない・内容が書き換えられた形跡がある(偽造・変造)
日付がない・自書でない部分がある・印鑑がないなど(方式不備)
誰かに脅されて・だまされて書かされた可能性がある(強迫・詐欺)
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認知症の程度・状況はどれに近いですか?
遺言作成当時すでに要介護認定を受けていた・医療記録がある
認知症の兆候はあったが診断書・記録がない
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全員合意で異なる分割をしたい理由は?
遺言の内容より全員にとって有利な分割方法がある
遺言作成後に事情が変わった(相続人の死亡・財産の変動など)
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← 最初からやり直す

遺言書に不満があるときに「できること・できないこと」
✓ できること
法的に認められた対抗手段
遺留分侵害額請求(1年以内)— 最低限の取り分を金銭で請求
遺言無効確認訴訟 — 偽造・方式不備・意思能力なしで争う
受遺者全員の合意による異なる分割 — 遺言と異なる分割が可能
特別受益・寄与分の主張 — 遺言に記載がない財産の分割に影響
遺言の検認申立て — 自筆証書遺言の存在を公式に確認
× できないこと
法的に難しい・認められない主張
「遺言の内容が不公平」だけでは無効にできない
「自分はもっともらうべき」という主張だけでは覆せない
兄弟姉妹・甥姪は遺留分を請求できない
遺留分を超えた財産を強制的に取り戻すことはできない
相続人の一部が反対する場合、遺言と異なる分割はできない

状況別 3つの対処法の詳細
対処法① 遺留分侵害額請求 — 最低限の取り分を金銭で取り戻す 期限:1年以内
遺留分とは、配偶者・子・親が最低限保障される相続分です。遺言で遺留分を下回る取得になった場合、侵害した人(受遺者・受贈者)に対して金銭の支払いを請求できます。遺言書そのものを無効にするわけではなく、差額を金銭で補塡してもらう制度です。
1遺留分の計算:自分の遺留分額を弁護士に試算してもらう
2内容証明郵便で「遺留分侵害額請求権の行使」を通知する(時効停止のため)
3相手と交渉・合意できなければ調停・訴訟で解決
!期限:相続開始および遺留分侵害を知ってから1年以内に請求しないと時効
対処法② 遺言無効確認訴訟 — 偽造・方式不備・意思能力なしで争う 期限:原則なし(ただし早いほど有利)
遺言書が有効でない場合は「遺言無効確認訴訟」で争えます。無効が認められれば遺言書は最初からなかったことになり、法定相続分での分割に戻ります。無効事由の立証責任は争う側にあり、証拠の収集が勝敗を分けます。
1遺言無効の根拠(証拠)を弁護士と整理する
2まず調停(遺言無効確認調停)を申し立てる(調停前置)
3調停不成立なら地方裁判所に「遺言無効確認訴訟」を提起
4筆跡鑑定・医療記録・証人尋問などで無効事由を立証
!弁護士なしでの対応は実質困難。証拠収集を早急に始めることが重要
対処法③ 受遺者全員合意による異なる分割 — 全員OKなら遺言と違う分け方も可能 期限:相続税申告期限(10ヶ月)を意識
遺言書があっても受遺者全員(遺言で財産を受ける人全員)が合意すれば、遺言と異なる分割ができます。「遺言では長男が全部取得だが、全員合意で均等分割にする」などが可能です。ただし一人でも反対すると遺言書の内容が原則として実行されます。
1受遺者全員と話し合いを行い代替案を提示する
2全員が合意したら「遺産分割協議書」を作成する(遺言に代わる効力)
3司法書士・弁護士に協議書の作成を依頼する
!相続税の申告は遺言と異なる分割後の内容で行う。税理士への確認が必要
対処法④ 特別受益・寄与分の主張 — 遺言に記載のない財産の分割に影響 遺産分割協議・調停の中で主張
遺言書に記載されていない財産(遺言漏れ)については、通常の遺産分割協議が必要です。その際、特別受益(生前贈与の差)や寄与分(介護・事業貢献)を主張できます。遺言書が一部の財産のみカバーしている場合に活用できます。
1遺言書に記載されていない財産を確認・目録を作成
2遺産分割協議でその財産について特別受益・寄与分を主張
3合意できなければ遺産分割調停を申し立てる

遺留分の早見表 — 相続人の構成別に確認
相続人の構成 遺留分の合計 各自の遺留分(法定相続分の1/2)
配偶者のみ 1/2 配偶者:1/2
配偶者+子1人 1/2 配偶者:1/4 子:1/4
配偶者+子2人 1/2 配偶者:1/4 子A:1/8 子B:1/8
子のみ(1人) 1/2 子:1/2
子のみ(2人) 1/2 子A:1/4 子B:1/4
配偶者+親 1/2 配偶者:1/3 親:1/6
親のみ 1/3 親(1人):1/3 親(2人):各1/6
兄弟姉妹(のみ・または配偶者と) なし 兄弟姉妹に遺留分はありません

遺言が無効になる主な事由
!
意思能力の欠如(認知症・精神疾患)
遺言作成時に被相続人が認知症等で意思能力(遺言の内容を理解する能力)がなかった場合、遺言は無効です。医師の診断書・介護記録・認知症テスト結果・入院記録などが証拠になります。「作成直前に認知症の診断を受けていた」という記録が最も有力な証拠です。
!
偽造・変造
自筆証書遺言で筆跡が本人のものではない・内容の一部が書き換えられた場合は無効です。筆跡鑑定(専門の鑑定機関への依頼)が主要な証拠手段です。公正証書遺言の偽造は実質的にほぼ不可能(公証人・証人が関与するため)。
!
方式不備(自筆証書遺言の場合)
①全文の自書(手書き)がない②日付の記載がない・不完全(「令和6年吉日」は無効)③署名がない④押印がない⑤加筆・訂正の方法が法定の方式に従っていない、などの場合は遺言全体または一部が無効になります。
!
強迫・詐欺による遺言
相続人や第三者から脅されて・だまされて遺言を書かされた場合は取消しが可能です。ただし「強迫・詐欺があった事実」の立証が非常に困難で、証人・メール・録音などの証拠が必要です。
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「内容の不公平さ」だけでは無効にならない
「長男だけに全財産を与える」という内容は法的に有効です。遺留分を侵害していても遺言自体は有効で、侵害額を金銭で請求できるだけです。「自分はもっともらうべき」「不公平だ」という感情的な主張だけでは遺言を無効にできません。

よくある疑問
遺留分請求の1年の期限はいつから数えますか?
「相続の開始(被相続人の死亡)を知った時」かつ「遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知った時」の両方を知ってから1年です。相続開始を知っていても遺言書の内容を知らなかった期間は時効が進行しません。ただし相続開始から10年で時効になります。「1年以内」という期限は非常に短いため、遺言書の内容を確認した時点ですぐに弁護士に相談してください。内容証明郵便で「遺留分侵害額請求権を行使する」と通知するだけで時効を止めることができます。
遺留分は現物(不動産)で請求できますか?
2019年の民法改正後、遺留分侵害額請求は金銭での支払いのみになりました(改正前は現物返還も可能でした)。不動産を受け取った相続人が遺留分を金銭で払えない場合は、裁判所に「支払いの期限の猶予」を求めることができます。その場合、猶予期間中は不動産に法定利率で利息が加算されます。
公正証書遺言でも無効にできますか?
理論上は可能ですが、実際は非常に困難です。公正証書遺言は公証人・証人2名が関与して作成されるため、方式不備での無効は認められません。無効を主張できる根拠は主に「意思能力の欠如(認知症等)」または「強迫・詐欺」ですが、これらを公正証書遺言に対して立証するには相当な証拠が必要です。弁護士と証拠の有無を慎重に検討してから訴訟を決断してください。
遺言無効確認訴訟に勝てる見込みはどのくらいですか?
ケースによって大きく異なります。「認知症の医療記録が明確にある」「筆跡鑑定で別人が書いたと判明した」などの客観的証拠がある場合は勝訴の可能性が高まります。一方、「本人の性格からして書きそうにない内容」「なんとなく偽造の気がする」という程度では難しいです。弁護士に証拠を見せて「勝訴の見込み」を率直に評価してもらうことが最初のステップです。訴訟費用・弁護士費用・時間と勝訴見込みを天秤にかけた上で判断しましょう。
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