相続における不動産業者の主な役割
査定・価格把握
相続不動産の市場価格の無料査定
複数の査定を比較するための基準づくり
路線価との乖離・実勢価格の把握
遺産分割協議での「時価の根拠」提供
売却のサポート
相続不動産の売却活動・買主探し
空き家・古家・農地など特殊物件の対応
売却に必要な書類・手続きの案内
買取業者への橋渡し(早期売却が必要な場合)
賃貸・活用のサポート
相続した賃貸物件の管理引き継ぎ
空き家を賃貸に転用する場合のリフォーム提案
賃料相場・入居率の見通し提供
サブリース・一括借り上げの提案
不動産業者にできないこと
相続登記・法的手続き(司法書士へ)
相続税の申告・節税アドバイス(税理士へ)
相続人間の争いの調整・交渉(弁護士へ)
遺産分割協議書の作成(行政書士・司法書士へ)
✓ 不動産業者の最大の価値は「市場価格の把握」です。相続税評価額(路線価)と実際の売却価格は大きく異なることがあり、遺産分割の前に複数社から査定を取っておくことで協議がスムーズになります。
相続不動産の売り方 — 3つの選択肢を比較する
仲介売却
買取(即時売却)
賃貸活用
仲介売却 — 市場価格で売る最も一般的な方法
不動産業者が買主を探して仲介します。売却価格は市場価格(査定額)に近く、最も高値が期待できる方法です。ただし売却完了まで3〜6ヶ月程度かかります。
メリット
市場価格(買取より15〜30%高い)で売れる
買主を広く募集できる
仲介手数料のみ(売却価格の3%+6万円+税)
デメリット
売却まで3〜6ヶ月以上かかることも
売れない場合は値下げが必要
内覧・対応の手間がかかる
⚠️ 相続税の申告期限(10ヶ月)までに売却して納税資金を確保したい場合は、仲介では間に合わないことがあります。早めに着手するか買取を検討してください。
買取(即時売却) — 業者に直接売って早期に現金化
不動産業者が直接買主になる方法。内覧不要・最短数週間で現金化できますが、価格は市場価格より15〜30%低くなります。「早く現金が必要」「古家・瑕疵物件で売れない」場合に有効です。
メリット
最短2〜4週間で現金化できる
内覧・リフォーム不要で現状のまま売れる
瑕疵担保責任が免除されることが多い
デメリット
市場価格より15〜30%低い
複数社を比較しないと損をしやすい
買取業者ごとに価格差が大きい
⚠️ 買取価格は業者によって大きく異なります。必ず3社以上から買取査定を取り、最高値を提示した業者を選んでください。1社だけで決めると数百万円の差が出ることがあります。
賃貸活用 — 売らずに収益源にする
相続した不動産を売却せず賃貸に出す方法。毎月の家賃収入が得られますが、管理の手間・修繕費・空室リスクが伴います。「思い出の家を手放したくない」「将来的に戻るかもしれない」という場合にも選択肢になります。
メリット
毎月の家賃収入が得られる
将来売却することもできる(資産保有)
空き家の老朽化・管理の問題が解消
デメリット
管理の手間・修繕費用が継続発生
入居者がいると売却しにくくなる
賃料収入に所得税がかかる
✓ 賃貸に出す場合は管理会社(不動産業者)に管理委託するのが一般的です。管理手数料は家賃の5〜10%程度。サブリース(一括借り上げ)は空室リスクをなくせる反面、家賃が低く設定される点に注意が必要です。
相続不動産を売却する場合の流れ
1
相続登記を完了させる先に必須
不動産の売却には名義が被相続人から相続人に移っていることが必要です。司法書士に依頼して相続登記を完了させてから売却活動を開始します(2024年から3年以内の登記が義務)。
2
複数の不動産業者に査定を依頼する3社以上推奨
最低3社から査定を取って比較します。査定額には幅があり、1社だけだと相場より安い価格を適正と思い込むリスクがあります。一括査定サービスの活用も効果的です。
3
媒介契約を締結・売却活動開始
仲介を依頼する業者と媒介契約(専任・専属専任・一般のいずれか)を結びます。専任・専属専任は1社に絞る代わりに業者が積極的に動きます。一般媒介は複数社に依頼できます。
4
売買契約・決済・引渡し仲介手数料が発生
買主が見つかったら売買契約を締結し、残代金の受領と同時に引渡しを行います。仲介手数料は「売却価格×3%+6万円+消費税」が上限(400万円超の場合)。決済時に支払います。
5
譲渡所得税の申告翌年3月15日まで
相続した不動産を売却した場合、売却益(譲渡所得)に対して税金がかかります。ただし「相続した空き家の3,000万円特別控除」などの特例があり、税理士への相談が必須です。
⚠️ 相続した不動産の「取得費」は被相続人が購入した価格が引き継がれます。購入時の契約書が見つからない場合は売却価格の5%が取得費とみなされ(概算取得費)、税負担が大きくなります。古い書類の確認を早めに行ってください。
相続不動産に強い業者を見極める — 選び方チェックリスト
査定依頼・業者選定時に確認すること
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相続不動産への対応力
相続不動産の取り扱い実績が豊富か確認した(「相続専門」や「相続の取り扱い多数」を謳っているか)最重要
対象物件の地域での売却実績・成約事例を確認した(地域の相場感を持っているか)重要
空き家・古家・農地・共有持分など特殊案件の経験があるか確認した重要
査定の質と透明性
査定価格の根拠(周辺の成約事例・比較物件)を明確に説明してくれたか重要
「高い査定額を出して媒介契約後に値下げを勧める」業者でないか確認したNG確認
3社以上から査定を取って比較した強く推奨
税務・法務面の連携体制
譲渡所得税・3,000万円特別控除などの税務面は税理士を紹介してもらえるか確認した重要
相続登記が未了の場合の司法書士との連携があるか確認した確認推奨
避けるべきサイン
根拠なく他社より著しく高い査定額を出す業者でないか確認した(囲い込みの手口)NG確認
「すぐに専任媒介を結んでほしい」と急かす業者でないか確認したNG確認
相続税や法律手続きについて「自社で全部対応できる」と言う不動産業者でないか確認したNG確認
売却活動の具体的な方法(どこに広告を出すか・どう買主を探すか)を説明してもらった確認推奨
よくある疑問
相続した実家をできるだけ高く売りたいです。何から始めればいいですか?
まず司法書士に相続登記を依頼してから、3社以上の不動産業者に査定を依頼してください。査定は無料です。並行して税理士に「3,000万円特別控除(相続した空き家の売却特例)」の適用可否を確認してください。この特例が使えると、売却益3,000万円まで非課税になります。適用要件(建築年・空き家期間・解体の要否など)があるため、売却前に必ず確認が必要です。
相続不動産の遺産分割で「不動産を誰が取得するか」でもめています。不動産業者はどう関わりますか?
不動産業者は「市場価格(時価)の査定」という形で関わります。遺産分割の協議では「不動産の価値をいくらとして計算するか」が争点になりやすく、複数社から査定書を取って平均を取ることで合理的な価格の根拠にできます。ただし遺産分割の法的な争いそのものは弁護士の業務範囲で、不動産業者が介入することはできません。
相続した不動産に古い建物があります。解体してから売るべきですか?
一概には言えません。解体費用(木造で坪3〜5万円程度)をかけても更地にした方が高く売れるケースと、古家付きのまま(現状渡し)の方が早く売れるケースがあります。また「3,000万円特別控除(空き家特例)」は一定の場合に建物の解体が要件になることがあります。まず不動産業者に「解体した場合とそのままの場合の査定額」を両方出してもらい、税理士と相談して判断してください。
相続した不動産が遠方(地方)にあります。どうやって業者を選べばいいですか?
地域の相場を熟知した地元の業者と大手チェーンの両方に査定を依頼することを推奨します。地元業者は地域の買主ネットワークを持っていることが多く、大手は広告力が強みです。一括査定サービス(SUUMO・HOME4U・イエウールなど)を使うと遠方からでも複数の業者に一度で査定依頼できます。また現地確認(内覧対応・鍵の管理など)を依頼する業者が現地に拠点を持っているかも確認してください。