専門家活用 › 相続に強い金融機関の選び方

相続に強い金融機関の選び方
手続きの円滑さ・専門家連携・資産承継で選ぶ

「どの銀行・証券会社・保険会社が相続に強いか」は、手続きのスムーズさ・専門家との連携体制・相続後の資産管理サポートの3軸で判断します。相続が発生してから初めて金融機関の対応力の差を知ることになりがちですが、生前から相続に強い金融機関を把握・活用しておくことがトラブル防止につながります。

金融機関が相続に関わる主な場面
預貯金の払戻し・名義変更
口座凍結解除と残高の払戻し手続き
相続人名義への口座移管(名義変更)
遺産分割前の「仮払い制度」の活用
必要書類の案内・受付窓口の対応
相続コンサルティング
生前の遺産整理・財産目録作成サポート
遺言信託・遺産整理業務(信託銀行)
税理士・司法書士・弁護士の紹介・連携
相続税納付のための資金管理アドバイス
証券・投資信託の相続
株式・投資信託の名義変更・移管手続き
相続時の取得単価(取得費)の証明
相続後の資産運用の継続サポート
NISA口座の相続手続き(非課税枠は消滅)
金融機関にできないこと
相続税申告の作成・節税設計(→税理士)
相続人間の争い・代理交渉(→弁護士)
不動産の相続登記(→司法書士)
遺産分割協議書の法的作成(→行政書士・司法書士)
⚠️ 銀行・証券会社が「相続手続きをサポートします」と案内していても、それは自行の手続きに限ります。相続全体のコーディネートは別途専門家に依頼が必要です。また、自行の金融商品(投資信託・保険)への誘導には注意が必要です。
金融機関の種類別 — 相続対応力の比較
種類 相続手続きの対応 コンサル機能 向いているケース 注意点
信託銀行 ◎ 最も充実 ◎ 遺言信託あり 遺産が多い・遺言信託・専門家連携が必要 手数料が高め。商品勧誘に注意。
メガバンク
三菱UFJ・みずほ・三井住友
◎ 相続専用窓口あり ○ 一部対応 メインバンクとして利用している場合。遺産額が中〜大規模 窓口が混雑しがち。書類の種類が多い場合あり。
地方銀行・信用金庫 ○ 窓口対応 △ 地域差あり 地元の専門家ネットワークが充実している場合。地方の不動産相続 担当者の相続知識にばらつきがある。
ネット銀行
楽天・住信SBI・PayPayなど
△ 郵送・オンライン中心 ✗ ほぼなし 残高が少ない・手続きが単純なケース 窓口なし。書類不備時の対応が遅い場合あり。
証券会社(対面)
野村・大和・SMBC日興など
◎ 専任担当者あり ○ 税理士紹介あり 株式・投資信託の残高が多い。担当者との関係がある 自社商品の乗り換え提案に注意。手数料確認を。
ネット証券
SBI・楽天・松井など
○ 一部オンライン化 ✗ ほぼなし 手続きが単純・残高の移管のみ 電話サポート体制の確認が必要。
生命保険会社 ◎ 死亡保険金の請求 △ 一部対応 生命保険・死亡保険金が主な財産のケース 保険金は「みなし相続財産」として別途相続税対象。
金融機関の種類別 — 特徴と活用のポイント
信託銀行・メガバンク
地方銀行・信用金庫
証券会社・保険会社
信託銀行 遺言信託・遺産整理業務で相続全体をサポート
信託銀行は「遺言信託(遺言書の作成・保管・執行を一貫して担う)」と「遺産整理業務(相続発生後に財産調査・各機関への手続き代行を行う)」が最大の特徴です。相続手続きを丸ごと委任できる唯一の金融機関で、弁護士・税理士・司法書士との連携ネットワークも充実しています。費用は高め(遺産整理業務の報酬は遺産総額の0.5〜1%+税が目安)ですが、複雑な案件・多忙な相続人にとっては費用対効果が高いです。
遺言信託:数万円〜/年の管理費 遺産整理業務:遺産の0.5〜1%+税 専門家紹介:原則対応
✓ メリット
相続手続きを一括委任できる
遺言書の保管・執行まで一貫対応
弁護士・税理士との連携が充実
✗ 注意点
手数料が他の機関より高め
自社商品(投資信託等)への誘導に注意
担当者の相続知識にばらつきがある場合も
メガバンク 相続専用窓口・相続サポートセンターが充実
三菱UFJ・みずほ・三井住友の3メガバンクはいずれも「相続サポートセンター」または「相続専用窓口」を設けており、専任のスタッフが手続きをサポートします。書類の受付から払戻し完了まで原則1〜3週間。法定相続情報証明書の活用も積極的に案内してくれます。信託銀行と異なり「遺産整理業務」のような包括的な代行は別費用(信託機能を持つ場合は可能)です。
払戻し手続き:手数料なし 相続専用ダイヤル:各行に設置 処理期間:1〜3週間
✓ メリット
専任窓口で手続きがスムーズ
法定相続情報証明書に対応
オンライン手続きの整備が進んでいる
✗ 注意点
相続コンサルは別途費用が発生
窓口が混雑し予約が必要な場合も
地方銀行 地元専門家ネットワークと不動産対応が強み
地方銀行は地域の税理士・司法書士・不動産業者との連携ネットワークが充実していることが多く、地元の不動産相続・農地相続・地元企業の事業承継に強みを持つケースがあります。担当者との長期的な関係性から、相続の相談も気軽にしやすい環境です。ただし、担当者の相続専門知識は個人差があります。相続サポートの充実度は銀行ごとに大きく異なるため、事前確認が重要です。
地元専門家紹介:多くの銀行で対応 農地・地方不動産に強い
✓ メリット
地元の専門家ネットワークが厚い
担当者との信頼関係で相談しやすい
地域の不動産・農地の相続に精通
✗ 注意点
担当者の相続知識にばらつきあり
オンライン手続きの整備が遅れがち
信用金庫・信用組合 地域密着・中小企業主・個人事業主の相続に強い
信用金庫・信用組合は中小企業主・個人事業主の方の取引が多く、事業承継と相続を一体で相談できる環境が整っている場合があります。地域の税理士・弁護士との勉強会・セミナー開催も活発です。ただし、規模が小さいほど相続担当スタッフの人数・経験が限られることがあります。複雑な相続案件(争いがある・不動産が多い・相続税が高額)は別途専門家への依頼が必要です。
事業承継との一体対応 中小企業主・個人事業主向け
✓ メリット
事業承継と相続を同時に相談できる
長年の取引関係で対応が柔軟
✗ 注意点
規模による相続対応力の差が大きい
複雑案件は外部専門家が必須
対面証券会社 株式・投資信託の相続手続きと資産継承サポート
野村・大和・SMBC日興などの対面証券会社は担当者制で相続手続きをサポートします。相続後の資産運用の継続・相続人への投資口座開設・取得単価の継承手続きを担当者が一括対応します。相続税の納付資金として保有株を売却する場合の手続きも、担当者がスムーズに進めてくれます。ただし、相続後の資産運用の勧誘目的での連絡には注意が必要です。
移管手続き:原則無料 税理士紹介:対応している場合あり 取得単価の継承:重要書類
✓ メリット
担当者が一括で相続手続きを対応
取得単価継承の手続きが確実
税理士紹介のネットワークがある場合も
✗ 注意点
相続後の資産運用勧誘に注意
手数料の高い商品への乗り換えに注意
生命保険会社 死亡保険金の請求と「みなし相続財産」への対応
死亡保険金は「みなし相続財産」として相続税の計算対象になります(ただし「500万円×法定相続人数」の非課税枠あり)。生命保険会社は保険金請求の手続きをサポートしますが、相続税の申告において保険金を正しく申告するには税理士との連携が必要です。また、相続対策として保険を活用する場合(一時払い終身保険等)は、加入前に税理士と効果を検討することを推奨します。
非課税枠:500万円×法定相続人数 請求期限:3年以内(時効) 必要書類:死亡診断書・戸籍謄本等
✓ メリット
保険金請求の書類サポートが充実
非課税枠を活用した節税が可能
✗ 注意点
申告漏れになりやすい。税理士に要確認
節税効果の過大な説明には注意
金融機関を選ぶ際の注意点
相続に強い金融機関を選ぶ — 確認チェックリスト
相談・選定前に確認すること(チェックして進捗を管理)
0 / 11 確認済み
手続き対応力の確認
相続専用窓口・専任担当者が存在するか確認した最重要
法定相続情報証明書での手続きに対応しているか確認した(戸籍謄本の束が不要になる)重要
書類提出から払戻し完了までの標準的な期間を確認した確認推奨
郵送・オンライン対応の可否を確認した(遠方の相続人がいる場合)確認推奨
専門家連携・コンサル機能の確認
税理士・司法書士・弁護士の紹介ネットワークがあるか確認した重要
紹介される専門家が銀行系列かどうか(中立性)を確認した確認推奨
遺言信託・遺産整理業務の費用体系を明確に説明してもらった(信託銀行の場合)重要
避けるべきサイン
相続手続きの説明より先に投資信託・保険の勧誘をしてくる担当者でないか確認したNG確認
「うちに任せれば全部できる」と相続税申告まで引き受けると言う金融機関でないか確認したNG確認
手数料・報酬が書面で明示されているか確認した(口頭のみの説明は要注意)NG確認
独立した専門家(銀行紹介でない税理士等)からもセカンドオピニオンを取った強く推奨
よくある疑問
信託銀行の「遺言信託」は弁護士・行政書士への遺言作成依頼とどう違いますか?
信託銀行の遺言信託は「遺言書の作成サポート・保管・執行(実際の手続き代行)」をパッケージで提供します。弁護士・行政書士への依頼は「遺言書の作成・アドバイス」が中心で、保管・執行は別途対応が必要です。費用は信託銀行のほうが高めですが、執行まで一括委任できる安心感があります。争いが起きやすいケースや複雑な財産構成では、弁護士が執行者になる公正証書遺言の方が安全な場合もあります。
複数の金融機関に口座がある場合、手続きはまとめてできますか?
原則として各金融機関に個別に手続きが必要です。ただし「法定相続情報証明書」を法務局で取得しておけば、戸籍謄本の束を各金融機関に個別提出する必要がなくなり、大幅に効率化できます(無料で何枚でも発行可能)。信託銀行の「遺産整理業務」を利用すれば、複数金融機関への手続きを信託銀行が一括代行します(別途報酬あり)。
銀行が紹介してくれる税理士・司法書士はそのまま依頼しても大丈夫ですか?
必ずしも問題はありませんが、紹介された専門家が銀行の提携先であることは覚えておいてください。提携先は銀行の金融商品を推奨する関係にある場合があり、中立的なアドバイスが得られないリスクがあります。特に「相続した資金の運用先」について推奨がある場合は、独立したFP・税理士にセカンドオピニオンを取ることを推奨します。
相続税の納付資金が足りない場合、銀行に相談できますか?
はい、相談できます。相続税の納付は原則として現金一括払いですが、①延納(分割払い)②物納(不動産等での納付)③金融機関からの借入れという選択肢があります。保有する株式・投資信託の売却タイミングについては証券会社の担当者が相談に乗ってくれます。ただし、延納・物納の手続きは税理士への依頼が実質必須です。まず税理士に「納付計画」を相談してから金融機関に相談することをお勧めします。
口座の存在を知らなかった金融機関がある場合、どうやって調べますか?
複数の方法があります。①郵便物・通帳・印鑑の確認②確定申告書の利子所得欄・配当欄の確認③全国銀行協会の「相続人等による口座照会制度(全銀協の制度)」の活用(各銀行に個別照会を依頼)④クレジットカード明細・公共料金の引き落とし口座の確認⑤スマートフォンの金融系アプリの確認。ネット銀行・ネット証券は通帳がないため特に見落としやすく、メール受信履歴・ブラウザのブックマークの確認も有効です。
「どの金融機関に相談すべきかわからない」「相続に強い税理士・専門家を探している」
状況に合わせた最適な選択肢をご案内します。
今すぐ相談する ↗

次に読むページ