相続における行政書士の主な役割
書類作成・収集まわり
遺産分割協議書の作成(全員合意の場合)
相続人調査・戸籍謄本の収集代行
財産目録の作成サポート
相続関係説明図・法定相続情報一覧図の作成
各種相続手続きの書類整備
遺言書まわり
公正証書遺言の内容設計・原案作成
公証役場との連絡・手続きサポート
自筆証書遺言の内容チェック・助言
エンディングノートの整理サポート
遺言執行者への就任(有資格者として)
各種名義変更・手続き
銀行口座の名義変更・解約の書類整備
自動車の名義変更(陸運局への申請)
株式・証券口座の名義変更サポート
生命保険の請求書類の整備
年金・社会保険の手続き書類
行政書士にできないこと
相手方との代理交渉・調停・訴訟
不動産の相続登記(司法書士の業務)
相続税の申告・節税設計(税理士の業務)
成年後見の申立て(司法書士・弁護士)
争いが生じた場合の一切の対応
⚠️ 行政書士は「争いのない相続手続き」の書類整備が専門です。相続人間で少しでも対立が生じた場合は弁護士、不動産登記は司法書士、相続税は税理士に切り替えてください。
行政書士に頼める状況・頼めない状況
業務範囲の境界線を正確に理解する
行政書士に依頼できる状況
相続人全員が合意していて書類作成だけが必要
戸籍収集・相続人調査の代行を頼みたい
公正証書遺言の原案設計・公証役場との調整
銀行・証券・自動車など不動産以外の名義変更書類
相続全体の書類整理・窓口のワンストップ対応
行政書士に依頼できない状況
相続人の一人でも協議内容に不満・異議がある
遺産分割について意見が分かれている
不動産の相続登記(必ず司法書士へ)
遺産総額が基礎控除を超える相続税申告
使い込み・遺言書の有効性など法的争いがある
行政書士・司法書士・弁護士 — 相続手続きでの使い分け
業務内容行政書士司法書士弁護士
遺産分割協議書の作成 ◎ 全員合意時 ◎ 可能 ◎ 可能
戸籍収集・相続人調査 ◎ 得意 ◎ 可能 △ 可能だが高額
不動産の相続登記 ✗ 不可 ◎ 専門 △ 可能だが高額
公正証書遺言の設計 ◎ 得意 ◎ 可能 ◎ 可能
相手方との代理交渉 ✗ 不可 ✗ 不可 ◎ 専門
調停・審判・訴訟 ✗ 不可 ✗ 不可 ◎ 専門
相続税の申告・節税 ✗ 不可 ✗ 不可 ✗ 不可(税理士)
費用の目安 5〜20万円 5〜30万円 着手金20〜60万円+
行政書士に依頼した場合の典型的な流れ
1
初回相談・見積もり1〜2週間以内に
相続の全体状況(財産・相続人・遺言書の有無)を説明し、業務範囲と費用の見積もりをもらいます。争いの有無を正直に伝えることが重要です。
2
戸籍収集・相続人調査
被相続人の出生から死亡までの全戸籍を収集。相続人を正確に確定させます。全国の役場に郵送請求できるため、遠方でも代行が可能です。2〜4週間かかることが多いです。
3
財産目録の作成
不動産(固定資産税評価証明書)・預金・株式・保険など全財産をリスト化します。相続税申告が必要かどうかの判断材料にもなります。
4
遺産分割協議書の作成・製本全員合意が前提
相続人全員が合意した内容で協議書を作成します。各自が署名・実印押印し、印鑑証明書を添付します。1部ずつ全員が保管する形が一般的です。
5
各機関への手続き書類整備・提出サポート
銀行・証券会社・自動車の名義変更に必要な書類を整備します。不動産登記は司法書士に引き継ぎ、相続税申告は税理士に連携します。
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争いが発生したら即座に弁護士へ切り替え重要
協議の途中で相続人間に対立が生じた場合、行政書士は対応できません。速やかに弁護士に相談し、調停申立てへの移行を検討してください。
行政書士への報酬の目安
5〜10万円
シンプルな相続(預金のみ・相続人2〜3人)
10〜20万円
不動産・株式を含む標準的な相続(不動産登記は別途司法書士費用)
20〜40万円
相続人が多い・財産が複雑・遺言書設計込みのケース
✓ 行政書士は弁護士・司法書士と比べて費用が安く、書類整備・窓口ワンストップ対応が得意です。全員合意が取れている相続であれば最もコストパフォーマンスが高い選択肢です。
良い行政書士を見極める — 選び方チェックリスト
相談前・選定時に確認すること
0 / 10 確認済み
専門性・実績の確認
相続手続きを専門・得意としているか確認した(「何でもやる事務所」より相続特化が望ましい)最重要
年間の相続案件数を確認した(20件以上が目安)重要
税理士・司法書士・弁護士との連携体制があるか確認した(ワンストップ対応の可否)重要
業務範囲の説明の明確さ
「行政書士にできないこと(争いが生じた場合・不動産登記・相続税申告)」を自ら説明してくれたか重要
争いが発生した場合の弁護士への引き継ぎ体制を説明してくれたか確認推奨
費用・透明性
報酬体系が明確で書面見積もりを提示してもらえたか重要
不動産登記・相続税申告が必要な場合の追加費用(連携先の費用)の説明があったか確認推奨
避けるべきサイン
「争いがある案件も対応できる」と言う行政書士ではないか確認した(代理交渉は非弁行為)NG確認
相続税の節税について具体的なアドバイスをしようとする行政書士ではないか確認した(税理士業務の侵害)NG確認
複数の事務所から見積もりを取って比較した強く推奨
よくある疑問
行政書士と司法書士、どちらに頼めばいいですか?
不動産の相続登記が必要な場合は司法書士が必須です(行政書士には登記ができません)。不動産がなく全員合意が取れている場合は行政書士の方が費用が安く済むことが多いです。両方が必要な場合は、司法書士事務所が行政書士業務も兼ねているケースや、連携している事務所に依頼するとワンストップで対応してもらえます。
遺産分割協議の途中で相続人間に意見の相違が出てきました。行政書士に引き続き頼めますか?
できません。行政書士は争いのない書類作成が業務範囲で、相手方との代理交渉は「非弁行為」として弁護士法で禁止されています。対立が生じた時点で行政書士への依頼は一旦止め、弁護士に相談してください。良心的な行政書士は自らこの限界を説明し、弁護士を紹介してくれます。
戸籍収集を自分でやるか行政書士に頼むか迷っています。
時間と手間に余裕があれば自分でも可能です。ただし被相続人の本籍地が転々としている場合・古い戸籍が読みにくい場合・全国複数の役場への郵送請求が必要な場合は、行政書士への依頼(3〜5万円程度)の方が効率的です。また収集した後に「法定相続情報一覧図」を法務局で作成してもらうと各機関に使い回せて便利です。
行政書士に公正証書遺言の作成を頼むメリットは何ですか?
公正証書遺言は公証人が作成しますが、その前段階の「内容設計・原案作成・公証役場との調整」を行政書士に依頼できます。メリットは費用が弁護士より安いこと(5〜15万円が目安)、公証役場との手続きに慣れていること、エンディングノートの整理から一貫して対応してもらえることです。ただし複雑な家族関係・事業承継・家族信託との組み合わせが必要な場合は弁護士や専門性の高い司法書士への依頼が望ましいです。